「百尺竿頭に一歩を進む」を地で行く羽生結弦《平昌五輪》
2018/06/21
もう1ヶ月近くたとうとしているのに今さらですが、にわかファン視点からの平昌五輪のフィギュアスケート男子の羽生結弦さんについて語りたいと思います。
あくまで、にわかファン視点です。
にわかファンだったからこそ、今までの軌跡を詳しく知らなかったし、偉業の後で色々調べていくうちに「本当にスゴイことだったんだ!」という感動もしています。
にわかファンのオリンピックを見る前の基礎知識
私は、フィギュアスケートに関しては全日本選手権はなんとなく毎年見ていたり、見ていなかったり、というよくいる普通のにわかファンでした。
羽生結弦くんがソチで金メダルを取った時は、深夜放送だったので、朝起きたら「おおスゴイ!」とびっくりしたのを覚えています。彼のことは好印象を持っていて好きでしたが、毎度の大会を必ずチェック!というほどではありませんでした。
しかし、時折世界最高点をたたき出した!というニュースはたびたび聞いていたので、スケートについてに関しては順調そのものなのかと思い込んでいたのはあります。
というわけで、例えば宇野昌磨くんのことは顔などは知っていても、じっくりと演技を見たことが無かったので、羽生結弦くん以外のライバル選手のことはよく知らない、という本当にファンには怒られそうな前提知識のままオリンピックを見ていました。
男子シングルのレベルがこんなに高かったんだ!
ソチから4年。ソチの頃とは全然違う様変わりに私はびっくりしてしまいました。オリンピックの頃だけ注目して見るにわかファンの私は、「全然違う!」と衝撃を受けました。
金メダルを取った羽生君は、ソチの頃の悔しさをバネにより数段レベルアップしていて、まさに「百尺竿頭に一歩を進む」を地で行く凄さをみました。
《「伝灯録」から》百尺の竿 (さお) の先に達しているが、なおその上に一歩を進もうとする。すでに努力・工夫を尽くしたうえに、さらに尽力すること、また、十分に言を尽くして説いたうえに、さらに一歩進めて説くことのたとえ。https://dictionary.goo.ne.jp/jn/187247/meaning/m1u/
いわゆる「真4回転時代」というのもそうですが、羽生結弦選手が実力ナンバーワンだというにわかファンの認識でいても、ライバルたちもものスゴイレベルが高いのです。とくに宇野昌磨くん!
私は日本の男子フィギュアは羽生君以外はそんなにレベルが高くないと思い込んでいて(本当にごめんなさい…)、こんなすごい選手をなぜ今まで見過ごしていたんだ!ととても反省しました。
ちっとも順調じゃなかった羽生君
11月に怪我をしてそれまで試合ができなかったことは知っていましたが、オリンピックの頃だけ注目するにわかファンの私は、彼は成功しているイメージしか知らなかったのです。
なので、時折耳にした世界最高点を更新した!とか4回転ループを飛んだ!とか、いいニュースだけはなんとなく耳にしていても、あまり調子が良くなかったニュースについては知らないでいたんです。(たぶん、どのスポーツとかにおいてもそうなんですが…。)
いいことしか耳に入ってこなかった私は、彼は順調そのもので、他のライバルより頭一つ、二つ抜けたままの圧倒的存在だから大丈夫、なんて思ってました。
しかし、のちに過去の試合の映像を見返したり、wikipediaで戦歴を見ていると、良かったり、悪かったりの連続です。いっつも優勝しているわけではなく、負けることもしばしば。4回転だって何度も転んでいる…。毎回実力通りに力を発揮できるわけではない。それはどの選手も同じで、ショートで失敗したネイサンみたいな状態の羽生君も過去に何度も経験しています。ショートが良くてフリーで失敗、その逆もしかり。
とくに、今シーズンは試合も欠場したり、負けたりしていて、彼の実力が確かだとしても、平昌五輪で金メダルが取れるかどうかは分からない、といったところだったのでしょう。
連覇がどれだけスゴイか、はかり知れない
にわかファンの私は、前提知識をあまり持たずに見たもので、羽生君が金メダルを取るに決まってる!と楽観視しつつ、ちょっとドキドキ…という感じで見ていました。
ショートもフリーも両方とも生放送で見ることができ、大変興奮したのと同時に、ソチのイメージで止まっていた羽生君のスケーティングがさらなる神っぷりに大変ビックリしたのです。もちろん、他の選手たちも。
通常、連覇するということは、同じレベルを保つのが難しい、というイメージで捉えがちですが、4年の間にそれからとんでもなくレベルをあげていることや、他の選手たちに大きな刺激を与えてさらにそれより強くなっている姿に大変感動しました。
そして、やはり自分にかけたプレッシャー、世間の期待からのプレッシャーはすさまじいものだったんだろうな、と思います。泣いている羽生君を見ると、2連覇した北島康介さんや谷亮子さんが2連覇で泣いている姿を思い出しました。はじめて金メダルを取った時よりも、2回目の方がどれだけ大変で、なおかつ重いものなのか…。
フィギュアスケートは選手生命が短いスポーツとも言われていて、4年も経つとだいぶメンバーが様変わりしています。それだけ、大変な競技であることは間違いないんでしょう。
羽生君、宇野君の努力の凄さ
過去にさかのぼって羽生君と宇野君の演技を見返していたりしています。
二人とももちろん子どもの頃からすごいのは分かるんですが、粗削りだったりしているので、二人がどれだけ努力して今の位置まで来たんだろう…とその方が感動します。
羽生君は、喘息のハンデもあり、華奢な体型のせいかスタミナが弱く、後半ちょっとヘロヘロしていたころもあったし、宇野君はトリプルアクセルが飛べるまで5年もかかったそうです。
二人がどれだけ努力して弱点を克服し、強くなっていったのか…。
ただ子ども時代からの才能だけでここまで来たわけじゃなかったんだ、と。
私はついついすごい人を見ると「生まれたときから天才だから敵わない」と言い訳をしてしまいそうになるのですが、そういうわけじゃく、努力があっていまここまで来ている、というアスリートの姿には、とても感動しました。
誰にでも、順調な時もそうでないときもある。そして、スゴイ人たちは誰よりも並々ならぬ努力をして弱点を克服していったということに勇気をもらいました。
やっぱりオリンピックって夢や希望を与えてくれる素敵なイベントだなあ、と思います。
そして、これからも、もっとフィギュアをにわかじゃなくてファンとして応援していきたいと思いました。